施行実績

伝統工法について

一 梁丸太を使った昔ながらの建築法

梁丸太とは、棟木の下に平行に棟の荷重を受ける為に入っている丸太のことです。
人間で言えば背骨の様なものですね、百年以上持たせる家には必ず必要なものです。
現代の家には、ほとんど使われなくなりました。この梁丸太の荷重を支えるのが、梁であり、虹通であります。この木組みを通常、和小屋と言います。日本人の昔ながらの仕事知恵です。
この先人の知恵、伝統文化をあえて私たちは、次世代に残そうと取り組んでいます。

二 長ホゾ、込み栓を使った手刻みの伝統工法

通り柱に3cmの横ボソを入れてボルトで引っ張っているのと、貫通させて込み栓を打っているのと、どちらが強いと思いますか?社寺、仏閣、文化財などの建築物は必ずホゾが貫通しています。ある解体屋さんは、羽子板ボルトの家より込み栓で建てている家の解体の方が、壊れにくいと言っていました。込み栓は、クサビの原理を応用しています。

ただ、木と鉄は相性がよくありません。建前の時にいくらきつくボルトを締めつけても、造作時にはもうがたがたにゆるんでいる場合もあります。ところが、込み栓は家が建っている間、すなわち、100年でも引っ張り続けているのです。込み栓(樫の木)では、通し柱の差口、柱の上下、小屋束の上下に至るまで打っています。一軒の家で300・00本使います。

三 土壁にこだわった作り

昔、冷蔵庫の無い時代に蔵に食品を入れていたのをご存知でしょうか。それは、年間通じて温度が家より低いからです。土壁は厚さによって熱が伝わりにくいものです。それが証拠に舗装道路の上を夏に素足で歩くと、やけどするほどですが土の上は、さほどにありません西本願寺の壁厚は30センチで、もし火災になっても4時間ぐらいは、持ちこたえます。

現在、私の土場で左官さんにお願いして深さ1メートル、巾3.5メートル、長さ10メートルのプールで壁土を5年前から発酵させています。発酵させる為には,稲藁、古畳を15センチ程度に切って土に混ぜて水を加えて、ユンボでかき混ぜています。植物である藁は腐って発酵し、植物繊維のセルロースと糊気のあるリグニンに分解し土が強くなっていくそうです。発酵土を蔵の様に壁に厚く塗る事で、エアコンの使用をおさえる事ができるのです。この土は化学物質はいっさいはいっていません、ですから、地球にやさしいのです。
(発酵させることで強度が増し、剥がれにくくなります。)

《 クロスと土壁の違い 》

クロスのホルムアルデヒドが原因で子供のアトピーや健康被害、ぜんそくなどの原因の可能性も!
土壁は、湿気調節を行ってくれる特徴があります。
断熱効果・蓄熱効果・結露しにくい土壁は工期が長く、生産性が低いといった施工のマイナス面があるが、使用中はもとより、破棄時にも有害な物質を出さないなど地球環境や健康上、非常にすぐれていると思います。

《 土壁の防耐火性能 》

そもそも土は厚さが同じであれば、耐火構造であるコンクリート壁よりも熱を通しにくいのです。

四 無垢の木材を使用

木材において、年齢は非常に大切なものです。樹齢100年の木は外で雨ざらし、陽ざらしにしながらでも100年もつというのです。たとえば、岩の上に生えて、養分も少なく苦労して育った木材ほど強いということなのです、その上に木目にしても、柾目にしても上品で美しいとおもいます。

合板などのベニヤ板を極力使いません。・・・押入れなど合板を使っている場合などニオイを嗅いでみてください。何とも言えないボンドの臭いがします。実際に工事で使う場合などに加工していると鼻がムズムズして鼻水が出てきます。体にはよくはないでしょうね・・・

構造材(骨組み)も大きいものほど、屋根の重さにも耐え、構造的にしっかりしたものになります。

五 地震対策

震度7以上の揺れなどは私共には、わかりませんが、ただ言えるのは大きな柱、たとえば、
通り柱180ミリ角以上、大黒柱、240ミリ角以上、隅柱はすべて180ミリ角という様に、大きな柱を使用することでかなり対応できると思います、ただし大黒柱は二階の梁までは、最低伸ばしてなくてはなりません。

そして貫は、一般の家では90×15mmが普通ですが、私共は、105×30mmの貫を使用し、枚数も通常より多く使います、さらに貫にクサビを打ち込み横揺れに対しても、壁一体型になる様に造っています。尚家は揺れなくてはなりません、揺れないと折れてしまうからです、揺れても必ずいい家は元に戻ります。